理事長挨拶
小児・思春期医療において、子どもの心の問題は、近年非常に増加しており、診療を担う専門医の養成は緊急の課題となっています。にもかかわらず、我が国には共通のカリキュラムによる質の保証された研修制度がなく、専門性を持った医師の絶対数も不足していました。この問題を解決するために、日本専門医機構が新専門医制度の整備を行うのを機に、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会、日本児童青年精神医学会、日本思春期青年期精神医学会の4学会が共同し「子どものこころ専門医」制度を立ち上げました。
本制度は、日本専門医機構が規定するサブスペシャリティ領域専門医をめざして、基本領域専門医を構築する日本小児科学会、日本精神神経学会と連携し、日本専門医機構の指導を受けながら、専門研修カリキュラム・プログラムの整備、研修施設の選定を進めています。同時に、4学会の認定医・推薦医を対象とした暫定専門医試験を2015年から実施してきました。新専門医制度における基本領域専門医の研修が2018年4月から開始されましたが、新しい専門医が誕生する2021年4月以降、本制度においても正式な研修をスタートする予定です。本専門医は社会的要請度が高く、医療現場のみならず、患者家族や教育現場からも整備が待ち望まれているものであり、かつ、小児科と精神科を横断して幅広い研修を行うシステムなど、制度設計上も今後の専門医制度のモデルになるものだと確信しています。
「一般社団法人子どものこころ専門医機構」は、子どものこころ専門医の認定・更新など、専門医制度の運用における実務を担うために4学会共同で設立された機関です。制度の円滑な運営に努めてまいりますので、ご協力、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
一般社団法人子どものこころ専門医機構理事長 村上 佳津美